約20年前に始まった富山城址公園整備に伴う石垣調査は、およそ3分の2の石垣についてレーザー測量が行われ、1石ごとに石質や刻印などが調べられました。また、解体修理に伴う悉皆的な石材調査や発掘調査は、石垣内部の状況や石割方法、墨書の内容などを詳らかにし、石垣に関する情報は飛躍的に増えました。
こうした成果を余すところなく盛り込んだのが、本書です。
石垣全体の歴史から、石材加工の石工道具といった細部にいたる内容まで、テーマ別に30の項目と、35の「豆知識」によって富山城石垣の全貌を明らかにします。 平易に解説されている一方、知る人ぞ知る玄人向けの内容もふんだんに盛り込まれ、読み応えのある一冊に仕上がっています。
富山城石垣は、山奥にある城や埋もれてしまった城と違い、誰もが間近に400年前の実物を観察できる貴重な遺構です。 本書を手に散策すれば何倍も理解が深まるでしょう。 ぜひご一読ください。
B5版 100頁 1300円+税 2022年7月7日発行 桂書房
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