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杉谷4号墳 現地説明会レポート

 平成24年8月29日 13:30~15:00で富山大学人文学部考古学研究室の調査による杉谷古墳群の杉谷4号墳の現地説明会が開催されました。多数の会員の方を含め、約80人の参加者がありました。

 杉谷古墳群は、呉羽丘陵の南西端に立地する11基の古墳で構成しています。この古墳群には古墳時代前期に築造されたと推定される前方後方墳で全長約56mの一番塚古墳や方墳(2番塚古墳・5~11号古墳)、円墳(3番塚古墳)があります。5号墳と7号墳の間には杉谷A遺跡が所在し、弥生時代終末期の方形周溝墓17基と円形周溝墓1基が確認されています。

 今回調査がなされたのは4号古墳(以下、杉谷4号墳)は、昭和49(1974)年に富山市教育委員会が試掘調査を実施し、山陰地方に特有な弥生時代の墳墓形態である四隅突出型墳丘墓が初めて北陸地方で確認されたものです。
 杉谷4号墳は一辺約25m、高さ3mの方形状の高まりに隅部が長さ約10~12m、幅12~14mの先端がバチ状に拡がり、周溝まで含めると一辺が約47~48m大きさになります。

 今回の調査では4号墳の東側隅部の調査をし、試掘調査でも確認されていた周溝の調査がなされました。
 突出部の上面は後世の削平を受けているが、周溝は良好に遺存しています。周溝の断面形は逆台形状で突出部先端では約2.4m、深さ約0.8m、調査区西端では約5.0m、深さ約1.5mを計り、墳丘側面は幅が広くて深く、突出部先端は幅が狭く浅い構造になっています。周溝基底部から墳丘正面までの比高差は約4mあることが確認されました。突出部の形状は長さ約10.5~11.0mと大型で幅も広く、先端がバチ状に拡がります。遺物は周溝内からは約700点の土器片が出土しています。
 杉谷4号墳は突出部の形状や土器の編年観から弥生時代終末から古墳時代初頭にかけて築造されたと考えられます。

〔参考文献〕
富山大学人文学部考古学研究室 2012 『富山市杉谷4号墳 現地説明会資料』
古川知明 1999 「杉谷古墳群」『富山平野の出現期古墳』 富山考古学会

(岡田一広)


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プロフィール

富山考古学会

Author:富山考古学会
1949年に設立。会の目的は、おもに富山県の考古学調査と研究、考古資料をはじめとする文化財の保存と継承、そして新人の指導。学会誌『大境』と連絡紙を発行。シンポジウムなどの研究活動、遺跡整備事業などに貢献。2008年、文部科学大臣表彰を受章。2011年、日本学術会議協力学術研究団体に指定。
※写真は氷見市大境洞窟(国史跡) [氷見市立博物館蔵]

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