佐伯哲也著『越中中世城郭図面集Ⅲ』が刊行!

本会会員である佐伯哲也氏の『越中中世城郭図面集Ⅲ-西部・補遺編-』が上梓された。
氏曰く「ヤーッタヤッタ!!」と小躍りしたい充実感に浸っておられるとのこと(「あとがき」より)。平成23年の中央部編、平成24年の東部編に続く三部作の完結編であるからもっともであろう。大きな仕事を成し遂げられたことに敬意を表したい。

本書の概要は次のとおりである。
氷見市・高岡市・小矢部市・砺波市・南砺市の104城館を掲載、補遺として中央部・東部の8件が追加されている。また、特別論文として「加越国境城郭について」が収録され、巻末には中央部編と東部編を含めた越中中世城郭の一覧表を付して、利用者の便が図られている。
すべての城郭に緻密な縄張図が解説とともに紹介されている。越中三大山城のひとつ増山城は20pにわたって時代背景、曲輪の構造、発掘の成果などが詳細に論じられる。その一方で小規模城館についても丹念に検討がくわえられている。

三部作に収録された城は計218。なかには目も眩むほど複雑な縄張図を持つ城もある。どれほどの労力・経験・知識を要するか素人でも容易に想像できる。しかも、佐伯氏はこれを独力で成し遂げている。超人的である。

独力だからといって精度が劣ったり、内容が薄かったりするわけでは決してない。調査や見学会に一緒に行ったことがある方なら分かると思うが、氏の縄張図の正確さと微細な地形の変化も見逃さない眼力には驚かされる。むしろ、一人の手で仕上げていることで、一貫性があり、統一性があり、別々の城郭を比較して見やすい。

「あとがき」には、胸を打つほどの縄張り研究にかける情熱が記されている。これを読んだだけで、私は本書が妥協や偽りのない信頼できる内容であると確信してしまう。

佐伯氏の成果は、各自治体の埋文行政でも常々参考にされている。本書が刊行されたことでその機会はますます増えるだろう。氏が願う城郭の保護にもつながっていくことと思う。

城に興味がある方は本書を手に城をめぐれば理解が何倍も深まると思う。
佐伯氏が案内人を務める見学会もたびたび開催されているので、参加して明快な解説に耳を傾けていただきたい。

<佐伯氏が案内する見学会予定>
 ・曲輪の会城攻めツアーのご案内 平成25年12月14日(土) 

(A4判 278頁 5250円 桂書房)                  

(野垣好史)

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プロフィール

富山考古学会

Author:富山考古学会
1949年に設立。会の目的は、おもに富山県の考古学調査と研究、考古資料をはじめとする文化財の保存と継承、そして新人の指導。学会誌『大境』と連絡紙を発行。シンポジウムなどの研究活動、遺跡整備事業などに貢献。2008年、文部科学大臣表彰を受章。2011年、日本学術会議協力学術研究団体に指定。
※写真は氷見市大境洞窟(国史跡) [氷見市立博物館蔵]

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