平成27年度総会から

 201427日(土13:00から環日本海交流会館1大会議室(富山市内幸町)で開催されました。 

今年は雪もなく暖かい日で、西井会長の叙勲(旭日単光章)のお祝いもあり、石川考古学研究会、越中史壇会、富山大学から計38人の参加がありました。 

西井会長のあいさつでは、「昨年は県埋蔵文化財センターでの史跡の50年展、日本考古学協会で小竹貝塚人骨をめぐるセッション、高岡城の国史跡指定など、富山県が全国に名を知らしめた良い年であった。これらには会員の方もおおぜい関わっている。指定推進は当会でも取り組み始めたところであり、小金銅仏調査と合わせ、さらに深められることを願っている。学会の果たす役割を再認識し、会員相互の連携を深め、協力しあう姿勢が大事であろうと思う。若い会員が、最新の情報を大いに活用することにより、今後の会の活性化につなげてもらいたい」と述べられました。

なお、事務局では、西井会長の叙勲記念として、主要調査歴と著作目録等を掲載した『西井龍儀先生 年譜』(B5版 16ページ)を会員諸氏のご協力を得て作成し、配布しました。調査歴はまだ作成途中であり、今後皆様からの情報などお寄せいただき、完成を目指したいと思います。(希望者は事務局までご連絡ください

_DSC0187a.jpg 西井龍儀会長あいさつ



第1部 総会

 議事は、
鈴木景二会員が議長となり進行されました。下記の議題について報告・決議がありました。
 

  【議事1】 平成26年度会務報告
  【議事2】 平成26年度決算報告・監査報告
  【議事3】 平成27年度活動計画



第2部 西井龍儀会長叙勲記念講演「小型石造狛犬の調査視点」

 小型狛犬の調査について石造物研究会から、越中の小型狛犬と笏谷石製狛犬の執筆依頼があり、久々忠義会員と2014年6月に調査結果を提出している。
 ここではその内、中世から近世前半ころまでの小型狛犬37躯を収録し、先行研究の越前狛犬・白山狛犬と対比しつつ、形態変化や石材選択を調査視点として、今後の類例増加や調査進展を喚起したいと考え報告する。
 越中の小型狛犬で最も古いのは天文24年(1555)銘のある高岡市吉久神明社狛犬で、笏谷石製である。たてがみは房巻毛2段で、あごひげや前肢にも巻毛があり、胸を張る。17世紀前半ごろから体躯はスリムになり、たてがみは毛筋垂下で巻毛はなくなるが、類例は吉久神明社のもう1体や、富山市四方海禅寺、南砺市安居長谷玉神社などとふえ、越前狛犬の流れをくむ。その一方で、たてがみをオカッパ状にした南砺市細野熊野神社や、朝日町清水寺狛犬は滝ヶ原石製で白山狛犬と関連する。
 17世紀半ばころには高さが10㎝前後と、手のひらにのる小型狛犬が量産され、それぞれの変化は体躯やたてがみ、顔だち、脚、尾、台座などにみてとれる。このような狛犬は氷見市蒲田白山社や安居長谷玉神社、小矢部市埴生医王院など越中西部に集中し、蒲田白山社や安居長谷玉神社では薮田石製で、医王院は笏谷石製である。小型狛犬の変化は笏谷石製と薮田石製の共通点が多く、地域を超えた共通点と石質判別や石材利用の相違解明が課題になる。
 小型狛犬の出土例は極めて少なく、殆どが社寺に遺されていることから、一般には目にふれることが少なく、調査例も少ない。近世後半の小型狛犬を含め、今後は社寺関係者の調査理解と協力を得ながら課題解明を図りたい。



_DSC0190a.jpg  西井会長による記念講演



第3部 越中の(小)金銅仏調査 中間報告

1 概要報告 間野 達会員((小)金銅仏調査メンバー)
 本会会員及び越中史壇会会員が協力して、平成25年12月から3か年計画で調査に着手した。高さ50cm以下の小金銅仏を主体とするが、それ以上で必要なもの、懸仏・磚仏・転用品も対象としている。これまで(小)金銅仏95件、懸仏等31件の計126件をリストアップし、42点の実測図を作成した。
また、今回報告にあたり分布図を作成した。図からわかることは、県西部に分布が多いこと、地理上は、医王山と立山周辺に集中することがわかる。
今後の調査においては、鋳造技術や仏教美術的な視点も加え、さらに調査を充実していく必要がある。会員の皆様においても情報収集にご協力いただきたい。

_DSC0206a.jpg  間野会員による中間報告


2 「黒部市辻徳報寺鉄仏と立山信仰について」

  富山県[立山博物館] 加藤基樹氏((小)金銅仏調査メンバー)
 
徳法寺所蔵の鉄仏は、高さ41.4cm、重量29kgで、明治33年女川磯次郎が当寺に寄進したものである。立山弥陀ヶ原に安置されていたとの来歴が過去帳に記載あり。
 端正・優美でしっかりした造形である。両手は欠失し、来迎印の阿弥陀如来か薬師如来か不明だが、他例から前者の可能性が高い。背面に「文暦二年八月日」(1235)の年号があり、次に大檀那名とみられる「藤□」の氏名がある。左上に「大工弘□介□」と鋳物師名がある。
 国内鉄仏120体余のうち、紀年銘では国内3番目に古く、阿弥陀如来としては最古。県内では鉄仏は初例で、北陸でも最古である。
 立山信仰にかかわる来歴については、検証が必要。現在各文献資料には該当する鉄仏の記載はない。現在弥陀ヶ原には阿弥陀如来像はないが、弥陀ヶ原の語源となった阿弥陀仏がかつて所在していたことを裏付ける文献は存在する。このことから、この阿弥陀とみられる鉄仏がかつて弥陀ヶ原にあった可能性は否定できない。
 今後由来に関する調査をすすめるとともに、鉄仏の考古学的調査・仏教美術的調査など多角的な調査も行い、その価値を明らかにしていく必要がある。
この鉄仏は富山にとって極めて重要な文化財といえる。

◎この鉄仏は、4月4日から富山県[立山博物館]の「立山の至宝」展で公開されます。

 加藤報告の後、杉崎貴英氏(帝塚山大学准教授、越中史壇会、仏教美術史)によるコメントをいただいた。銘文は他の例と比較検討が可能、やや後ろぞりの体躯やアウトラインは定朝様そのもの、よって平安後期以来の様式を備えた仏師によるものとの重要な指摘をいただきました。

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 加藤基樹氏による辻徳法寺鉄仏の報告

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 杉崎貴英氏(帝塚山大学准教授)によるコメント




総会後の懇親会
 総会終了後、会場を移動して27名が参加し、旭日単光章を受章された西井会長を囲んで、楽しいひと時を過ごしました。
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 安田良栄理事による乾杯のあいさつ

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プロフィール

富山考古学会

Author:富山考古学会
1949年に設立。会の目的は、おもに富山県の考古学調査と研究、考古資料をはじめとする文化財の保存と継承、そして新人の指導。学会誌『大境』と連絡紙を発行。シンポジウムなどの研究活動、遺跡整備事業などに貢献。2008年、文部科学大臣表彰を受章。2011年、日本学術会議協力学術研究団体に指定。
※写真は氷見市大境洞窟(国史跡) [氷見市立博物館蔵]

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